成功している社長の数字の見方

勝ち組社長になるための決算書の取り扱い説明書です。

貸借対照表はこうやって見る。

決算書や試算表を見る時に、皆様どのようにご覧になっていますか?一番多いパターンが、損益計算書を見て、売上と利益の推移を確認する、だと思います。

 

では、貸借対照表は???

 

貸借対照表となると、下手をするとほぼ見ない、あるいは、よく分かんないけど一応見ているという経営者の方が多いのではないでしょうか。

 

きちんと、貸借対照表損益計算書の特性を理解して確認しているという経営者の方は少ないというのが現状だと思います。

 

個人的には、極端な言い方をすると、経営者にとっては貸借対照表の方が損益計算書より重要な書類だと思っています。理由は簡単で、中小企業の経営のキモである【キャッシュの情報と借入金の情報】が載っているからです。赤字でも会社は潰れませんが、現金が底つけば会社は潰れます。中小企業においては、唯一といっていい現金の調達手段が借入です。この二つの重要な情報が載っているのが、貸借対照表です。

 

なので、もしこれから決算書や試算表をご覧になるときは、貸借対照表の方から見ていくというスタイルに変えていただくことをオススメします。さらに、この順番で見ていく方が俯瞰的に会社の状況を把握するのに適しています。

 

 

下図をイメージしてください。

 

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意識的に、貸借対照表の状況を把握してから、当期あるいは当月の状況把握として損益計算書を見る。そんなクセをつけると、会社の財務的な状況が俯瞰的に把握できるようになります。追加資金が必要なのか?追加設備は可能なのか?借入金の返済スピードはどうか?など、意思決定に重要な情報を手に入れることができます。

 

 

 

今回は、この貸借対照表を見る時のポイントを抑えていきましょう!
貸借対照表を見る時は、全体から部分へというかたちでフォーカスていきます。

 

★視点① ⇒ 負債と純資産のバランスをチェックする

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 負債は、返済の義務を負っています。会社の経営状況に関係なく、否応なしに返済が実行されていきます。過度に負債に依存した経営をしていると、この返済資金を手当てするために時間が使われていきます。

 

負債と純資産が2:1以上をキープできるように意識します。

 

もし、2:1のバランスが崩れてきたときは、不要な資産を処分して負債を圧縮するか、あるいは利益対策を立てて、負債と純資産の比率を改善させるよう努めます。

 

将来借入をしたいと考えている場合は、事前にしっかりと利益を出して純資産を積み上げておくようにします。利益が出ないのに、融資を受けようと考えるのを改めます。純資産は、今まで自分が稼いできた実績です。それを身の丈と考え、基本的にはそれ以上の借入は控えることにし、それでも借入をするときは財務的な負担が重くのしかかってくることを認識したうえで融資の交渉に臨みます。

 

 

 

★視点② ⇒ 不要な資産はないかチェックする

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負債と純資産のバランスをチェックした後は、資産の部の各勘定科目を見ていきます。
上から順番に目を通します。この時のポイントは2つです。

 

1.資産価値のないものが計上されていないか?

・回収できない売掛金

・売れない在庫

・内容不明の資産 など

 

2.不要な資産や収益を生まない資産が計上されていないか?

・使っていない設備

・趣味性の高い車両

・ゴルフ会員権 など

 

こういうものがあれば、処分するようにします。換金できれば、その分資金繰りが改善し、換金できない場合でも、損失計上することで節税に繋がります。

 

 

 

★視点③ ⇒ 現金預金は月商の何か月分あるか? 

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 無駄な資産等をチェックした後は、現預金残高をチェックしていきます。

 

会社から出ていくお金は、諸経費と借入金の返済になります。諸経費の金額はだいたい月商と同じくらいになります。

 

そうすると、売上1か月分の現預金しかないと借入金の返済分だけキャッシュが足りないことになります。

 

賞与月や納税月など、通常の月よりたくさんお金がいる月もあることを考えても売上1か月分では資金不測の月があることになります。

 

これらを考えると、現預金残高が月商の2~3か月分は欲しいところとなります。

 

 

 

★視点④ ⇒ 売掛金や在庫が月商の何か月分あるか? 

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現預金と同様に、売掛金や在庫も月商の何か月分あるのかというのチェックします。売掛金や在庫が月商の数か月分もあるようでは、お金として回収するまでに時間を要していることになります。焦げ付きや陳腐化のリスクがあるので、回収を早める対策が必要となってきます。

 

本来お金であっていいはずのものが、お金ではない形にいる=貸し付けている、立て替えてあげている状態だということが意識できます。

 

なるべく在庫を持つなというのは、お金が寝るからなるべく最小の在庫でどんどん販売してさっさと回収しろという意味なんですね。

 

 

 

★視点⑤ ⇒ 借入金の返済条件がどうなっているか?

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月々、いくら返済しているのか。各借入金の資金使途は何なのか。ということを意識して確認します。借入の本数が増えてくると、どの借入が何のためにされたのか分からなくなってきます。借入金の返済スケジュールが、会社の利益目標にも大きく影響していることも意識して確認するようにします。

 

借入金については、必要に応じて上図のような一覧表にしておくと分かりやすいでしょう。

 

 

 

 

決算分析、財務分析に関する書籍を見れば、もっといろんな分析指標が載っていますが、活用できなければ意味がありません。

 

中小企業の社長が自分の会社を守るという観点からは、ここに書いた内容をしっかりと意識するだけでも随分と変わってくると思います。

 

ここまでの内容でも、固い表現でとっつきにくい印象を持たれたかもしれませんので、最後にさらっと普段自分が貸借対照表を見ているときの心の声を文字にしてみたいと思います!

 

◆うん、負債と純資産のバランスはまぁまぁだな。

  ↓

◆どれどれ、資産に計上されている勘定科目は~と、、、、
 あれ?なんだ?このゴルフ会員権必要?車買っている場合じゃないと思うんだけど。
 結構、無駄な資産が多そうだなぁ。

  ↓

◆もうちょっと細かく見てみよう。
 まず、現金の量は、、、月商の1.5か月ぶんかぁ。もう少し、お金を増やしたいなぁ。売掛金は、2か月分かぁ、焦げ付いている売掛金とかないのかな。回収のサイトはどうなっているんだろう?在庫は、月商分くらだからまぁいっかぁ。

  ↓

◆えっと、借入金の状況は、全部証書借入か・・・資金使途もよく分かんないなぁ。ちょっと借入金の整理をしよう。必要なら毎月の返済の必要のない手形借入にしてもらえるよう銀行に相談しよう。

 

いかがですか?
意外とさらっと読んでいるのが分かると思います。文章で書くと難しく感じたり、手間に感じたりするかもしれませんが、実際に目にして、頭でぶつぶつしゃべっている時間は3分もないと思います。

 

これに後は、前月とか期首と大きく残高が変わった勘定科目があれば、その確認をするようにします。

 

これで異常値を見つけることができます。

 

これを会計事務所や銀行の人間から報告を受けるかたちで聞くのではなく、経営者自身が見て違和感を感じることができれば、早い段階で手を打つことが出来るようになります。

 

今回ここで使った数字らしい数字は、月商だけです。月商に対して、他の数字が適正かどうかを見ているだけです。数字が苦手という経営者でも直感的に理解できると思います。

 

是非、これから毎月試算表をご覧いただくときは、貸借対照表の方も眺めてみていただければと思います!