成功している社長の数字の見方

勝ち組社長になるための決算書の取り扱い説明書です。

経営と会計

経営者にとって会計とはどんな位置づけでしょうか?

重要事項ですか?

それとも優先度は後ろの方でしょうか?

 

会計というものについて、

稲盛和夫氏が書籍のなかで、その重要性を説いています。

一代で大企業を築いた経営者の言葉として大変重みがあります。

稲盛和夫実学 経営と会計 日経ビジネス文庫』の前書きから少し引用してみたいと思います。

 

 

 

★まえがきより

 もし、中小企業から大企業に至るまで経営に携わる者が、常に公明正大で透明な経営をしようと務めていたなら、また、企業経営の原点である「会計の原則」を正しく理解していたなら、バブル経済とその後の不況も、これほどまでにはならなかったはずである。私にはそう思えてならない。

 おそらく1980年代初頭までの単純な右肩上がりの経済であれば、企業経営は前例に従うだけでよかっただろう。しかし、・・・(中略)・・・。この様な時代においては、経営者は、自社の経営の実態を正確に把握したうえで、的確な経営判断を下さなくてはならない。そのためには、会計原則、会計処理にも精通していることが前提となる。

 ところが日本では、それほど重要な会計というものが、経営者や経営幹部の方々から軽視されている。会計と言えば、・・・(中略)・・・後追いの仕事でしかないと考えているのである。

 また、中小零細企業の経営者の中には、税理士や会計士に毎日の伝票を渡せば、必要な財務諸表はつくってもらえるのだから会計は知らなくてもいい、と思っている者もいる。経営者にとって必要なのは、結果として「いくら利益が出たか」、「いくら税金を払わなければならないのか」ということであり、会計の処理方法は専門家が分かっていればいいと思っているのである。さらに、会計の数字は自分の都合のいいように操作できる、と考えている経営者さえいる。

 ・・・(中略)・・・

 真剣に経営に取り組もうとするなら、経営に関する数字は、すべていかなる操作も加えられない経営の実態をあらわす唯一の真実を示すものでなければならない。損益計算書貸借対照表のすべての科目とその細目の数字も・・・(中略)・・・会社の実態を100%正しくあらわすものでなければならない。なぜなら、これらの数字は、飛行機の操縦席にあるコックピットのメーターの数値に匹敵するものであり、経営者をして目標にまで正しく到達させるためのインジケーターの役割を果たさなくてはならないからである。

 ・・・(中略)・・・

 本書は、私の考える経営の要諦、原理原則を会計的視点から表現したものであり、少し過激な表現ではあるが、「会計がわからんで経営ができるか」という思いで出版させていただいた。・・・(中略)・・・本書が「経営のための会計学」を真摯に学ぼうとする多くの方々に読まれ、より素晴らしい経営をするための一助となることを心から期待している。

・・・(中略)・・・

 

 

いかがでしょうか。

中小企業においては、自社の経営のために活用するというよりは税務署や金融機関に提出しないといけないから作成しているという意識の企業も多いと思います。

売上減少や利益減少に課題を感じている会社は、この様な意識を捨て、自社のためという意識で数字と向き合ってみるとことが業績改善への近道であるように思います。

実際の現場でも数字を丁寧に把握していくという事が業績向上、改善のためのスタートとなっていることがたくさんあります。