成功している社長の数字の見方

勝ち組社長になるための決算書の取り扱い説明書です。

社長が理解するべき貸借対照表①

社長が理解するべき貸借対照表

中小企業の社長が理解するべき貸借対照表の項目は6コです。


この6コのポイントを抑えること、
この6コのポイントを管理することができれば、
自社の財務体質は好転します。

裏を返せば、経営の苦しい企業というのは、
この6コのポイントのうちいずれかが悪化しているケースがほとんどです。

難しい財務分析無しで、簡単に自社のどこに問題があるのか分かります。


≪チェックポイント1≫ 現金預金の量

会社を経営していく上では、様々な支払いが発生します。
支払が滞ったときが倒産となります。

そうすると滞りなく支払いができるだけの現金預金が手元にあるかどうかが第一のチェックポイントとなります。

6コのチェックポイントのうちで最も重要な項目です。

 

繰り返しになりますが、お金さえあれば会社は潰れません。
反対にどんなに儲かっていても、お金が無ければ潰れてしまいます。

だから手元にお金がどのくらいあるのかというのは一番大事なチェックポイントになります。

 では、どのくらいの現金預金があればいいのでしょうか?


 「100万?300万?」

 

 

 

 

 

 

 

答えは、月商の2ヵ月分以上です。

そうです。会社の売上規模によって手元に持つべき現金預金の量は変わるんですね。
その目安が最低、月商の2ヵ月です。

 

なぜ、月商の2ヵ月分の現金預金が必要なのかをお伝えします。

 

まず大前提として、「売上=総経費」という関係にあることを理解してください。

これは売上規模が1兆円の会社も、100億円の会社も1千万円の会社も変わりません。

売上のほとんどは経費で消えてなくなります。

 

 

売上規模1兆円の会社が100億円の利益を残せば、
羨ましくも思いますが、売上1兆円に対して100億円の利益です。
売上の1%しか利益として残っていません。

こんな風に、利益の絶対額を見てしまうと、
大企業は利益をたくさん出しているように感じてしまいますが、
比率で見ると売上規模の大小にかかわらず、90数%は経費で消えていきます。

これが、「売上=総経費」の関係にあると言った理由です。
 
「それじゃ、月商1ヵ月分の現金預金があればいいでしょ?」
と思われるかもしれませんが、賞与の支払い月や納税の月等、通常の月よりたくさんの支払が発生する月があると思います。
臨時の修繕が発生するかもしれません。

 

こんな月は月商の1ヵ月分の現金預金だけでは資金が足りません。

安全・安心に支払いに備えるためには、
やはり月商の2ヵ月分以上の現金預金が必要ということになります。


≪チェックポイント1の2≫ 

現金預金の量はどうやって増やすか?

 じゃ、どうやって現金預金の量を増やすかという問題が出てきます。

 ①金融機関から借りる
 ②役員から借りる
 ③不要な資産を処分して換金する
 ④売掛金受取手形の回収条件を早める
 ⑤買掛金・支払手形の支払条件を緩める
 ⑥稼いで貯める

 

極めてシンプルですね。
手許現金を増やすにはこのいずれしかありません。

 

①②は借入です。手っ取り早く資金を確保することが出来ます。

③については、資産を処分(売却)して換金するという方法です。
そもそも無駄な資産、収益獲得に貢献しないような資産を持たないという意識が大切です。
代表例は、高級車、ゴルフ会員権、オーバースペックの設備、土地等です。
特に業歴の長い中小企業に多いのがこれらの資産の保有です。
高級車やゴルフ会員権は無くても経営に影響しません。
土地も保有せず、賃貸していれば経費で落とすことが出来きます。
これは、①②④⑤と違って相手がいないので、すぐに取り掛かることが出来る対策となります。

④⑤は回収、支払の条件です。自社にとって厳しい条件なら交渉してみる余地はあります。
一度取引が始まってしまうと、なかなか条件の変更は申し出にくいものです。
したがって、取引を開始する際に、回収・支払条件を自社に少しでも有利な方向となるよう交渉することが大切です。

⑥は利益(=税引後利益・繰越利益剰余金)で貯めるというものです。利益は売上の1~5%程度しか残りません。
借入と違って少しずつしか増えていきません。地道で時間がかかりますが、最も手堅い増やし方です。
これを実現するためには、利益最大化の意識で経営する必要があります。
そのためには粛々と納税をしなければなりません。
「とにかく税金を払うのが嫌」と思っている経営者には厳しい決断となります。


現金預金の量を改善するためには、
この①~⑥をミックスさせて考えることとなります。

 

貸借対照表について考える

とある経営者から聞いたはなし

 昔ある会社へ訪問させていただいたときの話です。

 

『税務署は半分しか持っていかん。半分は会社に残る。資本の部(今の純資産の部)をとにかく貯めることだ。』先代がよく言っていたという話を現在の経営者の方から聞きました。

 

そして、その経営者の方も、『よくわかんないけど、ここなんだよな。』『そんなにカネはないんだけど、ここが大きいおかげなんだよな。』と言いながら、貸借対照表の純資産の部の数字を気にかけていらっしゃいました。

 

 貸借対照表や純資産の部について深く理解しているわけではないのですが、ここを蓄積していかないといけないという【答え】を先代から受け継いでいらっしゃるので無茶な経営をされることはありませんでした。いわゆる、同族的経営にありがちな公私混同経営が無かったのです。

 

 ちなみに当時の私には、この社長と同じ程度かそれ以下にしかBSや純資産の部についての理解がありませんでした・・・何のためにBSがあるのかよくわかっていない人間でした。(割とそういう人は多いと思います・・・(汗))

 

 

 でも、BSの本質を理解していなくても、その答えを疑わずその方針を継続しているのはすごいことだと思います。

 

 いつ『経費は使わなソンソン、節税せなソンソン、先代の言っていることはおかしい』となってもおかしくありません。そうなってしまえば、あっという間によくある中小企業と変わらなくなってしまいます。

 

 それをしないのですから、現社長も直感的に純資産の部が重要ポイントであることを認識されていたのだろうと思います。

 

 そう思うと、BSを理解できなくても、【そういうもんだ!】ということをしっかりと意識できればいいのかもしれません。

 

 

BSはアドバンテージになる

 業績が芳しくないことを外部環境に求める声をよく聞きますが、仮に外部環境のために自社の成績が振るわないとしても、BSが頑丈であれば潰れません。まずはBSのぜい弱な会社から潰れていきます。同業者が減れば、市場全体が縮小していても、供給業者も減っているので生き残ることができます。

 

 PLは会社の収益性を、BSは会社の健全性を表している決算書だと言われます。BSのぜい弱な会社から潰れていくのですから、まさにBSはその会社が健康体であるかどうかを表した決算書といえます。

健全なBS作りは日々の努力のたまもの

 健康な体を作ろうと思ったら、ウォーキング、ジョギング、趣味のスポーツなどを継続して取り組んで行く必要がありますよね。車通勤をやめて自転車通勤にする、一駅前で降りて歩くという方法で健康管理をされている方もいらっしゃいます。

 

 反対に、毎晩遅くまでお酒を飲んだり、ご飯を食べたりしていると体を壊します。

 

 健全なBS、健康体のBSを築きあげていくためには、健康管理と同じように日頃からいかに節制するかということが大切となってきます。

 

 日ごろの活動の記録が、PLということになります。売上は最大化、経費は最小化、利益は最大化の意識を持った活動、取り組みができるかどうかです。日頃の運動・生活管理がPL、その結果手に入れた健康な体がBSという関係で考えるとPLBSの関係が分かりやすいと思います。

 

 業績のいい時に、役員報酬を増やしたり、節税名目で無駄な経費を増やして利益を圧縮する方向のかじ取りをするケースが見受けられますが、業績のいい時に残すものを残さなければ、一生BSは強化されていきません。

 

 繰り返しになりますが、意識しかありません。【税金は半分しか持っていかれないから(今は1/3くらいです)】と思えるようになれば、会社の経営状態は必ず改善します。それをこの2代にわたる経営者の方が教えてくれています。

 

アイマスクをして車を運転している経営者

こんにちは!

ほたかです。

 

『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』

2018年に出版された書籍の題名です。

 

この書籍で著書の三戸さんが言われていることを要約すると次の通りです。

★自分でゼロから起業するな!ハードルが高すぎる。

★起業するなら、既に形になっている会社を買い取って事業を始めなさい。

 

なるほど、これは実際にゼロから事業を立ち上げられた方なら実感されると思います。

 

今日の本題は、この書籍の主題とは少しずれますので、気になる方は書籍の方を手にお取りください。

 

さて、この書籍を読んでいると普段税理士・会計士、地域金融機関が感じているであろう思いを代弁してくれている内容がありました。

 

この文章から、何かを感じ取っていただければ幸いです。

 

以下、抜粋です。

 

 

私たち投資ファンドが、そんな中小企業の投資先に入るときに真っ先にするのが、各業務のKPIの設定と、それをPDCAサイクルで回す仕組み作りです。しかし、多くはKPIどころか、PDCAという言葉すら知りません。

 それでも中小企業の社長には、大した危機感はありません。

 財務諸表の見方が分からない経営者が多くいます。税理士の”先生”に任せっきりで、決算書をまともに読んだことがないからです。

 投資の審査で、中小企業の社長に「会計の状況を教えてください」とお願いすると、決算書や試算表を開いて説明するのではなく、「○○への振り込み」、「○○の支払」などと手書きで書きこまれた預金通帳のコピーを持ってきて説明されることもよくある光景です。

 財務諸表を見ながら、中小企業の社長に「この科目どうなっていますか」と聞けば、「これってなんですかね」と返答されたりします。「私ではわからないので、税理士にちょっと確認してみます」などと平気で言われます。自社の粗利率を知らない経営者が多いことには、最近ではもはや驚かなくなりましたが、年商数億円の会社社長が減価償却費の考え方を知らなかったときはさすがにずっこけました。慌ててホワイトボードに書いて説明しました。

 さらに、資金繰りが悪化した会社の経営者に、「なんで、こんなことになったんですか」と訊ねると、「いや、うちの税理士がちゃんと見てなかったんで・・・」などと平気で答えたりします。ちゃんと会社を見るべきなのは、税理士ではなく、社長であるあなた!なのですが。

 社長が会計を見ないというのは、私に言わせれば、アイマスクを付けて車を走らせているのと同じです。

 

 

どのように思われましたでしょうか?

 

「会計の勉強をしている時間なんてない」という声も聞こえてきそうですが、後回しにしていいような課題ではありません。アイマスクを付けて運転している、という言葉はユニークな表現ですが、中小企業の現状を適正に表している表現だと思います。

 

企業も個人同様に、格差が広がっています。
一日でも早く、アイマスクを外して運転できるようスキル習得に励むべきです。
税理士事務所との付き合い方を再考する機会でもありますね。

貸借対照表をイメージしてみた!

今日は、損益計算書じゃない方の話をしてみたいと思います。

 

よく芸人で印象の薄い方を、〇〇じゃない方ということがありますが、決算書における~じゃない方というのは、貸借対照表になるかと思います。

 

あんまり馴染みがないですよね…

 

それでも貸借対照表は、特に経営者にとってはとても重要な書類です。むしろ損益計算書より重要じゃないかと思えるくらい重要です。

 

それは、貸借対照表には、『カネ』と『投資』に関するエトセトラが記録されているからです。従業員では決められないものばかりです。

 

経営者となると、会社の行く末を左右する『カネ』と『投資』のコントロールが重要課題の一つとなります。

 

何を言ってるのかイメージがわかないですよね…

 

貸借対照表をイメージ図にしてみましたので、以下の図をご覧ください。

 

f:id:tarbooo:20181225155233j:plain

貸借対照表のうち左側の資産の部をイメージしたものです。
キャッシュがたくさんあれば、日々の支払いも、突然の支払いにも困りませんよね。もし、設備投資をしようと思ってもお金がなければ調達するところから始めなければなりません。現金預金はたくさんあればあったにこしたことはない資産といえます。

 

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もう一つの年間売上。

毎月、毎月月次決算を行っていても、1年間の成績が分かるのは最終月を終えてみないと分かりません。

 

試算表は月次段階で会社の状況を確認するのに最もポピュラーな書類です。しかし、試算表で日常的に把握できるのは、月次売上の推移と該当月までの累計売上になります。
期首から現在までの累計売上で対前期比較を行う事で、前年の同じ期間の比較を行うことができるため、売上がどう変化したのかを捉えることが出来ます。
直感的に分かりやすい書類であり、比較方法でありますが、弱点もあります。

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税理士・税理士事務所の選び方

事業をしていると切り離せないものの一つに、税理士or税理士事務所があります。

 

どんなところへ頼んだらいいのか分からない・・・ということを耳にします。

 

いきなり結論になってしまいますが、

 

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借入金の返済原資について考える

借入金の返済原資について考えてみたいと思います。

 

何本か借入を行っていると、それぞれの借入金の返済原資が何であるか?ということが分からなくなってきます。

 

これは、借入を起こす時にも同じことが言えます。どうやって返すのか?ということを意識しないで借入を起こすと将来的に資金繰りに窮するようになり今より厳しい状況に陥ることになります。

 

お金には色がついていない様で、ついています。返済原資を意識するという事は、お金の色を意識するという事に通じます。本来色のついているお金を一括りにして扱うので資金繰りがおかしなことになりはじめるのです。

 

なんとなくお金があるから、設備投資をしてみた。パァと従業員に還元した。社長が欲しかった車を買ってみた。結果、資金繰りが悪化・・・この様なことがあらゆる企業で起こっています。

 

企業は赤字でも倒産しませんが、お金がまわらなくなれば倒産します。返済原資について考える、お金の色について意識するということは、企業経営においてとても大切なことです。

 

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