成功している社長の数字の見方

勝ち組社長になるための決算書の取り扱い説明書です。

貸借対照表について考える

とある経営者から聞いたはなし

 昔ある会社へ訪問させていただいたときの話です。

 

『税務署は半分しか持っていかん。半分は会社に残る。資本の部(今の純資産の部)をとにかく貯めることだ。』先代がよく言っていたという話を現在の経営者の方から聞きました。

 

そして、その経営者の方も、『よくわかんないけど、ここなんだよな。』『そんなにカネはないんだけど、ここが大きいおかげなんだよな。』と言いながら、貸借対照表の純資産の部の数字を気にかけていらっしゃいました。

 

 貸借対照表や純資産の部について深く理解しているわけではないのですが、ここを蓄積していかないといけないという【答え】を先代から受け継いでいらっしゃるので無茶な経営をされることはありませんでした。いわゆる、同族的経営にありがちな公私混同経営が無かったのです。

 

 ちなみに当時の私には、この社長と同じ程度かそれ以下にしかBSや純資産の部についての理解がありませんでした・・・何のためにBSがあるのかよくわかっていない人間でした。(割とそういう人は多いと思います・・・(汗))

 

 

 でも、BSの本質を理解していなくても、その答えを疑わずその方針を継続しているのはすごいことだと思います。

 

 いつ『経費は使わなソンソン、節税せなソンソン、先代の言っていることはおかしい』となってもおかしくありません。そうなってしまえば、あっという間によくある中小企業と変わらなくなってしまいます。

 

 それをしないのですから、現社長も直感的に純資産の部が重要ポイントであることを認識されていたのだろうと思います。

 

 そう思うと、BSを理解できなくても、【そういうもんだ!】ということをしっかりと意識できればいいのかもしれません。

 

 

BSはアドバンテージになる

 業績が芳しくないことを外部環境に求める声をよく聞きますが、仮に外部環境のために自社の成績が振るわないとしても、BSが頑丈であれば潰れません。まずはBSのぜい弱な会社から潰れていきます。同業者が減れば、市場全体が縮小していても、供給業者も減っているので生き残ることができます。

 

 PLは会社の収益性を、BSは会社の健全性を表している決算書だと言われます。BSのぜい弱な会社から潰れていくのですから、まさにBSはその会社が健康体であるかどうかを表した決算書といえます。

健全なBS作りは日々の努力のたまもの

 健康な体を作ろうと思ったら、ウォーキング、ジョギング、趣味のスポーツなどを継続して取り組んで行く必要がありますよね。車通勤をやめて自転車通勤にする、一駅前で降りて歩くという方法で健康管理をされている方もいらっしゃいます。

 

 反対に、毎晩遅くまでお酒を飲んだり、ご飯を食べたりしていると体を壊します。

 

 健全なBS、健康体のBSを築きあげていくためには、健康管理と同じように日頃からいかに節制するかということが大切となってきます。

 

 日ごろの活動の記録が、PLということになります。売上は最大化、経費は最小化、利益は最大化の意識を持った活動、取り組みができるかどうかです。日頃の運動・生活管理がPL、その結果手に入れた健康な体がBSという関係で考えるとPLBSの関係が分かりやすいと思います。

 

 業績のいい時に、役員報酬を増やしたり、節税名目で無駄な経費を増やして利益を圧縮する方向のかじ取りをするケースが見受けられますが、業績のいい時に残すものを残さなければ、一生BSは強化されていきません。

 

 繰り返しになりますが、意識しかありません。【税金は半分しか持っていかれないから(今は1/3くらいです)】と思えるようになれば、会社の経営状態は必ず改善します。それをこの2代にわたる経営者の方が教えてくれています。